皆さんは愛猫に必要な1日の運動量を把握できていますか?
猫に必要な運動量は、猫種や年齢によって異なり、運動が足りていないと生活習慣病にかかってしまうことも。
そこで今回は、猫に必要な運動量や運動不足解消法、おすすめのグッズなどについて詳しく解説します。
愛猫の肥満にお悩みの飼い主さんはぜひチェックしてみてくださいね。
まずは愛猫の肥満度をチェック!
猫の肥満度は、体重だけで判断することが難しいため、「BCS」と呼ばれる指標で判断します。
BCSとは「ベストコンディショニングスコア」の略で、獣医師さんが猫の身体の外見や感触をチェックして肥満や栄養状態を確認する方法です。
猫の適性体重は、猫種や年齢、性別、体格などによって異なるため肥満の明確な基準値がありません。
「BCB」を基準にすることで、それぞれの猫に適した体型を把握することができます。
猫の「ベストコンディショニングスコア(BCS)」
「BCS」では、猫の肥満度を以下の5段階に分けて評価します。
BCS1
・・・痩せ
BCS2
・・・やや痩せ
BCS3
・・・理想的
BCS4
・・・やや肥満
BSC5
・・・肥満
上記の5段階の中では「BCS3」が最も理想的な体型と言われています。
猫の肥満をチェックする際にポイントとなるのは、おなか・腰のくびれ・肋骨の3つ。
愛猫の身体をチェックしてみて、やや肥満・肥満に当てはまる場合は食べ過ぎや運動不足が関係している可能性があります。
適切な食事管理はもちろん、これからご紹介する1日の運動量を参考にしてみてくださいね。
室内飼いの猫が1日に必要な運動量は?
猫に必要な運動量は、猫種や毛の長さによって異なります。
【野生に近い猫種(ベンガル・ソマリなど)】30分以上
ベンガルやソマリなどの野生に近い猫種は一般的な猫に比べて運動量が豊富です。
飼い主さんと一緒に遊ぶことも好きですが、ボール遊びやキャットタワーなどに飛び移って遊ぶなどの活発な遊びを好みます。
キャットウォークや家具の配置を工夫して、自由に遊べるスペースを広く設けてあげましょう。
【短毛種(日本猫・ロシアンブルーなど)】20〜30分
日本猫やロシアンブルーなどの短毛種は、長毛種に比べて運動量が多いと言われています。
とくに、保護猫の場合元々広い環境で育ってきたため、家猫になってからも20〜30分の運動が必要です。
また、日本に1番多いと言われるキジトラは野生的な性格の子が多い傾向にあるため毎日欠かさず運動させてあげましょう。
【長毛種(ペルシャ・ラグドールなど)】10〜15分
長毛種は、短毛種に比べて運動量が少ない傾向にあります。
おとなしい性格の子やゆったりとした動きの子が多いので、無理のない範囲で遊んであげましょう。
長毛種の中でも、ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンなどは活発な遊びが好きな子も多いので、その子の性格に合わせてあげることが大切です。
年齢によっても適切な運動量は異なる
猫の年齢によっても運動量は異なります。
それぞれの年齢の猫に合わせて、無理のない範囲で運動させてあげましょう。
子猫(生後7ヶ月頃)
子猫の場合は、1日20分以上の運動が適切と言われています。
この時期は家の中にあるいろいろなものに興味を持つため、ひとり遊びすることも多いでしょう。
飼い主さんと一緒に遊ぶときは、猫じゃらしやボールなどを使って遊んでみてくださいね。
飼い主
子猫を遊ばせるときは、配線や誤飲のリスクがあるものを置かないように注意してね!
成猫(生後7ヶ月〜7歳)
生後7ヶ月〜7歳までの成猫期の猫は、子猫のときに比べてだんだんと落ち着き始めます。
まだまだ活発な時期ではありますが個体差も現れやすくなるでしょう。
とくに、避妊・去勢手術後はホルモンバランスの変化で太りやすくなります。
キャットタワーなどを使って足腰の筋肉を鍛える上下運動や、狩猟本能を満たす遊びを取り入れて、その子の好みに合った運動を探してあげることが大切です。
年を重ねていくうちにひとり遊びをしなくなるので、飼い主さんが積極的に運動時間を作ってあげてくださいね。
シニア猫(生後7歳以上)
7歳以降はシニア期に突入し、個体差はありますが8歳過ぎから徐々に老化の兆しが表れます。
寝ている時間が増え、運動量が減るため筋肉が徐々に低下します。
それでも、健康のためには適度な運動が必要です。
飼い主さんが遊びに誘い、1日10分程度の運動を休憩を挟みながら行いましょう。
飼い主
シニア期を健康に過ごすためにも、若いうちから運動をして筋肉をつけてあげることが大切だよ!
運動不足になりやすい猫の特徴
次に、運動不足になりやすい猫の特徴についてみていきましょう。
お留守番が多い
仕事などで飼い主さんが家を空ける時間が長いと、じっとしている時間が増えて運動不足になりやすくなります。
その場合、猫がひとり遊びできるお気に入りのおもちゃを見つけてあげましょう。
また、飼い主さんがいる時間帯はなるべく愛猫との時間を作り、1日20分でも運動の時間を作ってあげてくださいね。
お留守番が多い猫にとって大好きな飼い主さんと遊ぶ時間は、愛猫のストレス発散や飼い主とのコミュニケーションを取るためにも大切な時間になるはずです。
遊び相手がいない
飼い主さんが忙しく構うことができない場合やほかに遊び相手がいない場合、運動不足になっている可能性が高いです。
猫は基本的に単独行動を好む動物ですが、猫の性格によっては同じ猫のお友達がいた方がいいこともあります。
相性が合う相手同士なら、飼い主さんが構ってあげられないときでも鬼ごっこしたりじゃれあったりして遊べるため、ストレス発散や運動不足解消につながるでしょう。
運動に十分なスペースがない
猫に必要なのは部屋の広さよりも高さです。
高いところを自由に動き回れるようにキャットタワーやキャットウォークを設置するのもよいですが、家具の配置を凸凹になるように工夫することで手軽に空間を活かすことができますよ。
走り回るのが好きな猫の場合は、部屋や廊下のドアを開放しできるだけ障害物をなくしてあげましょう。
飼い主
我が家では、自宅の階段を使って2匹で鬼ごっこして遊んでいるよ!
成熟期・シニア期の猫
成熟期・シニア期に入ると自分から積極的に運動することが少なくなります。
先述の通り、寝ている時間が長くなるシニア期は徐々に筋肉が落ちていくため、活発な運動はできません。
成猫期のような上下運動を中心とした遊びは、かえって怪我のリスクや身体への負担になるため、前足でおもちゃに手を出したり目で追いかけたりと少しの運動と刺激を与えるだけで十分です。
みけぽん
シニア猫を運動させるときは、カーペットの上など足場が安定したところで遊ばせてあげてね!
運動不足の猫が見せるサイン
猫の運動不足のサインは、見た目だけでなく仕草や行動にも表れます。
以下で運動不足の猫が見せるサインを4つご紹介しますので、愛猫に当てはまる場合は早めに対処しましょう。
1.いたずらが増えた
- 柱や壁で爪研ぎする
- 障子を破る
- パソコンの上に乗る
などのいたずらは、猫の本能だけでなく運動不足でストレスを感じているサインかもしれません。
一度手を止めて猫じゃらしやボールなどを使って遊んであげましょう。
ひげちゃん
5分だけでもいいから遊んでほしいにゃ!
2.毛づくろいの頻度が増えた
毛が抜けるほどしつこく毛づくろいしたり、噛んだりする場合はストレスが関係していることも。
毛づくろいは猫がリラックスしているときや安心したいときに行う行動です。
エスカレートして爪や尻尾を噛んで傷ついてしまうこともあるので、日頃から毛づくろいの様子を観察しておきましょう。
3.急に走る
猫が急に家の中を走り回ったり、キャットタワーに飛びついたりする行動を「真空行動」と言います。
この行動は、猫がエネルギーを発散させたいときや退屈なとき、工事などの環境の変化があった後のストレス発散をしたいときなどに見られる行動です。
夜中に猫が急に走り出す「猫の運動会」が真空行動の代表的な例と言えるでしょう。
普段はそれほど心配のない行動ですが、運動不足などの心当たりがある場合はストレス反応である可能性が高いので様子を見てあげてくださいね。
飼い主
寝る直前に猫が満足するまで遊んであげると、夜中の猫の運動会が緩和されるかも!
4.気力がない
運動不足が原因で肥満気味になると、高いところに登ったりジャンプしたりすることが減り、飼い主が遊びに誘っても興味を示さなくなることがあります。
肥満傾向にある猫は、疲れやすかったり身体が重く動きにくかったりするため激しい運動を避けようとすることも。
また、運動不足だけでなく体調不良や病気などの可能性もあるので気になる場合は獣医師に相談しましょう。
運動不足はさまざまな病気につながる
運動不足は肥満の原因になり病気のリスクも高まります。
肥満が原因で毛づくろいがしづらくなり、皮膚病になることも。
そのほかにも、自分の体重が足腰への負担になったり、動くのが面倒になったりと猫の負担も大きくなり何ひとついいことはありません。
いつまでも健康で長生きしてもらうためにも、日常的に運動する習慣をつけましょう。
命に関わる猫の「生活習慣病」
人間も運動不足が原因で生活習慣病になることがありますが、これは猫も同じです。
猫に多い生活習慣病は以下の通りです。
- 肥満
- 糖尿病
- 歯周病
- 腎不全
- がん
- 泌尿器疾患
- 関節疾患 など
肝臓病や高血圧の原因にもなり、猫の命に関わります。
「睡眠」「食事」「運動」のどれかに偏ることなく、全てにおいてバランスのよい生活を心がけましょう。
猫の運動不足を解消する4つの方法
猫の運動不足を解消するために、飼い主はどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?
ここでは、猫の運動不足を解消する4つの方法をご紹介します。
1.お気に入りのおもちゃを探す
おもちゃの好みは猫によって異なります。
ボール遊びが好きな子もいれば、ぬいぐるみのおもちゃが好きな子などさまざまです。
年齢を重ねていくにつれておもちゃの好みが変わったり、飽きてしまったりすることもあるためそのときの猫の好みに合わせてお気に入りのおもちゃを見つけてあげてくださいね。
大好きなおもちゃが見つかれば、積極的に運動してくれるようになるはずです。
みけぽん
子猫の頃はボールが好きだったけど、今は猫じゃらしとレーザーポインターが大好きにゃ〜
2.キャットタワーで上下運動
キャットタワーは猫の習性を元に作られているため、猫にとって重要な上下運動が自然と行われます。
猫は野生時代、天敵から身を守るために危険が少なく周囲を見渡せる高い場所を好む傾向にありました。
つまり、キャットタワーは猫の野生時代の名残を利用したアイテムなのです。
ちなみに、キャットタワーは外がよく見える窓際に設置するのがおすすめ。
運動量が低下したシニア猫の場合は刺激になったり、日向ぼっこをして健康を維持したりする効果が期待できますよ。
3.環境を整える
家具の配置を工夫して運動スペースを増やしたり、家の中のものを片付けたりするなどして運動できる環境を整えてあげることも大切です。
部屋に余裕がある場合は、猫が運動できる専用のスペースを作るのもおすすめです。
4.【我が家はこれで解決】遊び相手を迎える
我が家の1匹目の猫は、2匹目の猫を迎えたことで運動不足を解消することができました。
飼い主では難しい鬼ごっこなどの全身を使った運動ができるようになり、噛み癖や夜鳴きなどのストレスサインが改善。
お互い年齢が近いこともあり、遊ぶときは常に一緒です。
ただし、猫の年齢や性格、性別によっては多頭飼いが難しいこともあります。
詳しくは、以下の記事にまとめていますので多頭飼いを検討している方は参考にしてみてくださいね。
猫の運動は“ごはんを与える前”がベスト
猫の運動に適切なタイミングは、ごはんを与える前の時間です。
これは、猫の狩猟本能に関係しており、ごはんを食べる前に運動することで獲物を捕まえる意欲が高まり、積極的に運動するようになります。
最近では、遊びながらおやつが出てくるおもちゃなどもあるので、猫の肥満にお悩みの飼い主さんはぜひ試してみてはいかがでしょうか。
【口コミあり】猫の運動不足解消におすすめのグッズ4選
最後に、猫の運動不足解消におすすめのグッズを4つ厳選しました。
利用者からの口コミも合わせてご紹介するので、愛猫の運動不足が気になる飼い主さんはぜひ参考にしてみてくださいね!
キャットホイール
ハムスターの回し車のような見た目が特徴的な「キャットホイール」。
アパートなどで猫が自由に走れるスペースがないご家庭や成猫・シニア猫になって運動不足が気になる猫ちゃんにおすすめです。
足元は滑りにくいようにカーペット素材になっているものが多く、洗えるものや交換可能なものもあるので清潔に保つことができます。
利用者の口コミ
猫じゃらしやレーザーポインターなどを組み合わせて遊ぶと、飼い主さんも一緒に楽しめますよ!
LEDポインター
猫用のレーザーポインターは、床にレーザーを当てるだけで手軽に遊べるのが魅力!
ほかのおもちゃに比べてコンパクトなので、省スペースで収納できるのもポイントです。
我が家の猫はこのおもちゃが大好きで、飼い主が手に持っただけで寄ってくるほど…(笑)
素早い動きができるので運動量が多い猫ちゃんにおすすめです。
利用者の口コミ
遊ぶときは、猫の目に直接当てないように注意してくださいね。
ひげちゃん
ボクは寝る前にこれで遊んでるにゃ!
ペティオ エビのけりぐるみ
レザー素材が使われたエビのデザインの蹴りぐるみです。
猫は嗅覚に優れているため革製品や鳥羽などの獲物の匂いに敏感に反応します。
蹴りぐるみはストレス発散やひとり遊びにも効果的で、マタタビが入っているのものなら食いつきも抜群です!
利用者の口コミ
エビの形は緩やかなカーブ状でキックしやすい形状です。
猫が獲物を捕まえた後の狩猟本能を掻き立て、運動不足解消におすすめです。
飼い主
レザー以外にもいろいろな種類のエビがあるからぜひチェックしてみてね!
まとめ
今回は、猫に必要な1日の運動量や運動不足の解消方法などについて解説しました。
猫に必要な運動量は、猫種や年齢などに寄って異なります。
運動不足になると肥満などの生活習慣病を引き起こす可能性もあるので、それぞれの猫に合ったおもちゃや運動方法を見つけてあげることが大切です。
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