猫は虫歯にはなりにくい動物ですが、歯垢や歯石などの蓄積が原因の歯周病になる猫の確率は、約8割と言われています。
歯周病が重症化すると、歯が取れてしまったり心臓病や腎臓病などの病気を引き起こすことも。
猫の健康を維持するためにも、歯磨きなどで日常的に口腔内をケアしてあげることが大切です。
そこで今回は、猫の歯磨きの必要性や適切な頻度、慣れさせる方法などについて詳しく解説します。
歯磨きが苦手な猫ちゃんに向けて、代用品についてもご紹介しているのでぜひ参考にしてみてくださいね!
猫に歯磨きは必要?
猫も人間と同じように、口腔内の健康を保つためには歯磨きなどの日常的なお手入れが必要です。
野生で暮らしている猫は、獲物の肉を噛みちぎったり、あまり噛まずに飲み込んだりするため、口内トラブルが少ないと言われています。
しかし、ペットとして飼育される猫の食事は、猫が飲み込みやすいサイズのドライフードや、柔らかいウェットフードなどが多いため、歯に食べカスが溜まりやすく飼い主さんによるこまめなケアが必要なのです。
「虫歯」にはならないが「歯周病」にはなりやすい!
猫の口内は、鋭く尖った歯と虫歯の原因となる菌が増殖しにくい構造になっているため、人間でいう虫歯にはなりにくいと言われています。
みけぽん
じゃあ、どうして歯磨きが必要なの?
飼い主
「歯周病」を予防するためだよ!
猫の口内トラブルで最も多いとされているのが「歯周病」です。
歯周病の主な原因は、口内の食べカスの残りによってできる歯垢や歯石。
猫の歯周病が重症化すると、心臓病や腎臓病の原因となったり、顎の骨が溶けて歯が抜け落ちてしまったりと、猫の健康にさまざまな影響を及ぼします。
つまり、猫の歯磨きは口腔トラブルの予防やケアだけでなく、猫の身体全体の健康を維持するためにも大切と言えるでしょう。
猫の歯磨きの頻度は?
次に、猫の歯磨きの頻度について見ていきましょう。
毎日または週2〜3回が理想的
猫の歯磨きの頻度は1日1回、できれば毎日行うのが理想的です。
先述の通り、猫は歯周病になりやすく、予防するためには日常的なケアで歯に歯垢を付着させないようにすることが大切だからです。
とはいえ、歯磨きを嫌がる猫もいるため、毎日の歯磨きが難しい場合は週2〜3回程度の頻度を目安に行いましょう。
飼い主
猫の歯垢は、3〜5日ほどで歯石になるため、最低でも3日に1回は歯磨きしよう!
猫の歯磨きはいつから?
猫の歯磨きは子猫の頃から、できるだけ早く行った方いいと言われています。
ここでは、猫の歯磨きを始めるタイミングについて見ていきましょう。
永久歯が生え変わる生後半年ごろ
猫の歯磨きを始めるタイミングは、乳歯から一生残る永久歯に生え変わる、生後3〜7ヶ月頃が理想的です。
子猫の社会化期に合わせて歯磨きトレーニングを行う
子猫の社会化期は、生後約2週目から8週目ごろまでと言われています。
子猫にとってこの時期は、視覚・嗅覚・聴覚が発達する時期であり、さまざまなことを覚え、慣れさせることができる時期です。
まずは、抱っこに慣れさせたり、耳や手、爪、顔などの色々な部分に触れてあげましょう。
身体に触られることに慣れてもらうことで、歯磨きだけでなく爪切りなどの体全体のケアもしやすくなります。
「最初は牙の部分だけ」「次の日は奥歯だけ」というように、無理のない範囲でゆっくり慣れさせてあげてくださいね。
歯磨きに慣れさせる方法
早く慣れてもらいたいからといって、無理やり歯磨きをするのはNG。
愛猫の年齢や性格などによって、歯磨きに慣れるスピードはそれぞれです。
以下で、歯磨きに慣れてもらう方法を順番でご紹介しますが、少しでも嫌がる場合は1つ前のステップに戻して、徐々に慣れさせるようにましょう。
①飼い主の指やジェルに慣れさせる
歯磨きジェルは、猫の歯茎や歯周ポケットに塗るだけで簡単にケアできるデンタルケアアイテムです。
ブラシなどにつけて使用するのが一般的ですが、まずは飼い主さんの指に直接ジェルを塗り、猫に舐めさせることから始めましょう。
こうすることで、猫が歯磨きジェルの味を覚え、飼い主さんの手が口周りに触れるのに慣れてくれるはずです。
口周りに触れることが慣れてきたら、猫の唇を優しくめくり口の中に入れて、歯や歯茎に触れてみます。
猫が嫌がったらすぐに辞め、上手にできたら褒めてあげるのを繰り返しましょう。
②歯磨きシートで練習
指での歯磨きに慣れてきたら、次に歯磨きシートを使って練習します。
飼い主さんの指に歯磨きシートを巻き付け、始めは滑らすように優しく汚れを落としましょう。
慣れてきたら、1本ずつ丁寧に磨いてみてくださいね。
③指サックタイプを使う
歯磨きに慣れてきたら、指サックタイプのデンタルケアアイテムを使ってみましょう。
指サックタイプは先端部分にブラシがついているので、歯ブラシに移行させる前のステップアップに効果的です。
シートタイプに形状が似ているので、慣れやすくヘッド部分に歯磨き粉をつけてあげるとより綺麗に汚れを落とすことができますよ。
次に紹介する歯ブラシを使った歯磨きにどうしても慣れない場合は、指サックタイプの歯ブラシのままでも十分効果的です。
飼い主
指に近い感覚で磨けるから、猫の歯磨きに慣れていない飼い主さんでも扱いやすいですよ!
③ブラシを使ってみる
指サックタイプの歯磨きに慣れてきたら、いよいよ歯ブラシを使った練習です。
- 歯ブラシは鉛筆を握るように持つ
- 猫の歯に対して45度の角度であてる
- 優しく小刻みに動かしながら磨く
1回で全ての歯を磨けなくても大丈夫ですので、嫌がる場合はすぐに辞めましょう。
上の歯や下の歯に分けるなどして、部位別に磨くのもOK!
全てのステップにおいて、嫌がる場合はすぐに手を止め無理やり行わないことが大切です。
上手にできたら、デンタルおやつなどを与えてしっかり褒めてあげてくださいね!
歯磨きが苦手な猫に便利な代用品
「どうしても、歯ブラシを使った歯磨きができない!」という場合は、デンタルおやつなどを使って猫が嫌がらないものを選びましょう。
成猫になってからの歯磨きトレーニングは、難易度が高く慣れてもらうまでに時間がかかることがほとんどです。
以下のアイテムを活用すれば、歯磨きが苦手な猫ちゃんでもストレスなく口内をケアできます。
デンタルフード
デンタルフードは、一般的なキャットフードに比べて粒が大きいのが特徴です。
粒の形状も工夫されており、猫が噛んだときに歯垢が取れやすいように作られているため、歯垢の蓄積を抑える効果が期待できます。
しかし、歯の根本などに付着した歯垢などを全て取り除けるわけではありません。
歯周病などの改善を目的として使用するのではなく、日常的な口腔内のケアとして活用しましょう。
ひげちゃん
ほかのケアアイテムと並行して使うのがおすすめにゃ!
デンタルおやつ(デンタルガム)
デンタルおやつ(デンタルガム)は、猫の口腔内の歯垢や歯石の蓄積を防ぐ効果が期待できます。
そのまま与えるのではなく、飼い主さんが手に持ったまま長時間猫に噛ませるのがポイント。
歯垢を完全に除去することはできませんが、どうしても歯磨きが苦手な猫ちゃんにおすすめです。
デンタルおもちゃ
デンタルおもちゃは、猫が噛んで遊ぶことで歯垢の蓄積を抑えるケアアイテムです。
ヘチマやマイクロファイバー、繭玉などの素材でできているものが多く、歯の表面をこすり取る素材が使われています。
遊びながらケアできるので、自然な形で口腔内をケアできるのが魅力。
ただし、繰り返し口の中に入れて使うのでこまめに洗い、清潔な状態を保ちましょう。
デンタルジェル(歯磨きジェル)
デンタルジェル(歯磨きジェル)は、猫が舐めたり飲み水に混ぜたりして与えることで、口臭や歯垢の蓄積を予防することができます。
直接歯垢を落とすことはできませんが、歯ブラシなどにつけて補足アイテムとして活用するのがおすすめです。
綿棒
綿棒は、子猫などの口の小さい猫に最適です。
歯と歯茎の境目を優しくなぞるようにして歯垢を取り除きます。
ただし、おもちゃにして遊んでしまったり、先端が折れて飲み込んでしまうリスクもあるため、人間用ではなく犬・猫用の綿棒を使用するようにしましょう。
猫の歯磨きに関するQ&A
最後に、猫の歯磨きに関するよくある質問をQ&Aでご紹介します。
猫に人間用の歯ブラシは使っていいの?
- 猫に人間用の歯ブラシは使っていいの?
猫に人間用の歯ブラシはおすすめしません。
人間の歯ブラシは形状や毛の硬さが異なり、猫の口に合わない可能性があります。ペット用の歯ブラシは柔らかく、猫の口に適した形状をしています。
猫に歯磨きをしていないとどのような影響がありますか?
- 猫の歯磨きをしないとどのような影響がありますか?
口臭や歯周病などの口腔内のトラブルだけでなく、歯周病が原因で心臓や肝臓、腎臓などのさまざまな臓器に影響を及ぼすことも。
歯周病をそのままにしておくと、歯が抜けたり痛みによる食欲の低下、鼻水などの症状が現れる可能性もあります。
歯磨きジェルは効果的ですか?
- 歯磨きジェルは効果的ですか?
猫によってはジェルそのものを嫌がることもあるため、一概に効果があるとは言えません。
歯磨きに最適な時間は?
- 歯磨きに最適な時間は?
歯磨きするときは、猫がリラックスしているタイミングで行いましょう。
具体的には、遊んだ後で疲れているときやごはんを食べて眠そうにしているときがおすすめです。
猫に歯間ブラシは有効ですか?
- 猫に歯間ブラシは有効ですか?
歯間ブラシは一部の猫にとっては効果的かもしれませんが、慣れさせるのが難しいアイテムです。
猫の好みによりますが、歯間ブラシを使用する場合はソフトで小さいものを選ぶとよいでしょう。
まとめ
今回は、猫の歯磨きの必要性ややり方、適切な頻度などについてご紹介しました。
猫は歯周病になりやすいため、飼い主さんによる日常的なケアが必要です。
口内環境を整えることは、猫の身体全体の健康にもつながるため、上手に工夫しながら習慣化できるようにしましょう!
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– キャトヘルスアドバイザー
– 猫の健康管理インストラクター
– 保護猫歴10年
– 2匹の保護猫と暮らす
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