猫に必要な栄養素を過不足なく補える「総合栄養食」は、猫の主食となり得るフードです。
飼い主
そもそも「総合栄養食」ってなんだろう?
最近では、猫に総合栄養食を与えることが主流になりつつありますが、具体的にどのような役割や特徴があるのでしょうか。
今回は、総合栄養食とは何か、一般食との違いなどについて詳しくご紹介します。
総合栄養食とは?
ペットフード公正取引協議会では、総合栄養食の定義について以下のように記載しています。
総合栄養食とは、猫の成長や健康維持に必要な栄養素がバランスよく含まれており、そのフードと水を与えるだけで猫の健康を維持できるフードです。
総合栄養食を決める基準は、日本だけでなく世界的に認められている栄養基準でもあるAAFCO(全米飼料検査官協会)の基準が採用されています。
総合栄養食は、「ペットフード公正取引協議会」が定める栄養基準を満たしたフードのみに表示されるため、安全なキャットフードを選ぶ指標にもなるでしょう。
総合栄養食に含まれる「五大栄養素」
総合栄養食には、猫の健康を維持するために必要な以下の5つの栄養素がバランスよく配合されています。
次に、それぞれの栄養素の役割について解説します。
みけぽん
上記の栄養素に「水」を加えれば、猫に必要な「六大栄養素」を補うことができるよ!
【タンパク質】体の成長や維持に役立つ
タンパク質は被毛や筋肉、骨などの成長や維持に役立つ栄養素です。。
猫は肉食動物なので、ほかの動物よりもタンパク質の必要量が高く体重1kgあたり約4.8g必要と言われています。
ひげちゃん
猫のタンパク質の必要量は、
人間に比べて約5〜6倍
犬に比べて約3倍
高いんだって!
【炭水化物】腸内環境を整える
炭水化物は糖質と食物繊維からなる栄養素で、糖質はエネルギー源となり、食物繊維は腸内環境を整える役割を果たします。
猫は本来肉食動物であり、炭水化物を摂取する必要性は他の動物に比べて低く、AAFCO(全米飼料検査官協会)の基準には設けられていません。
炭水化物は猫にとって、一見必要のない栄養素に見えますが、食物繊維は腸内環境を整える効果があることや極端にタンパク質に偏った食事は栄養バランスが乱れるだけでなく、病気になったときの食事の困難が難しくなる傾向にあるため、適度な炭水化物の摂取が必要と考えられています。
【脂質】エネルギー源となる
脂質はエネルギー源となるだけでなく、健康な被毛や皮膚を保つ働きがある栄養素です。
しかし、脂質はタンパク質や炭水化物よりもカロリーが高いため、多く摂りすぎると肥満の原因になることもあるので注意しましょう。
【ビタミン】病気に対する抵抗力
ビタミンは代謝や体の機能を円滑にし、病気に対する抵抗力を高める栄養素です。
健康な被毛や皮膚を維持する働きもあるため、成長期や繁殖期にはとくに多く摂取しなければなりません。
ビタミンは体内ではほとんど合成されないため、食事から摂取することが大切です。
【ミネラル】歯や骨を形成する
ミネラルは猫の歯や骨を形成するほか、体液や血液の中にも含まれます。
カルシウムや鉄などの各ミネラルの摂取バランスが重要で、不足したり過剰に摂取したりすると病気の原因になることも。
猫に多くみられる尿石症は、ミネラル成分が増えたり、尿のpHバランスが崩れたりすることで結石ができやすくなります。
総合栄養食以外のキャットフードとその違い
キャットフードには、総合栄養食以外にも以下のようにさまざまな種類があります。
ここでは、それぞれの目的や総合栄養食との違いについてみていきましょう。
一般食(副食)
「一般食」や「副食」とは、人間でいうおかずのようなもの。
総合栄養食は猫が1日に必要なビタミンやミネラルなどの栄養素が全て含まれており、人間でいう主食に例えられます。
一方、一般食や副食の記載があるものは特定の栄養素やカロリーの補給、嗜好性を高めることを目的としたフードです。
そのため、これらのキャットフードばかり与えていると栄養バランスに偏りが出てしまうので注意しましょう。
一般食や副食は、缶詰などに多くみられますが、見た目では区別がつきにくいことが多く、気が付かないうちに主食にしていることも。
猫の主食となるフードを選ぶときは、パッケージの表記確認して「総合栄養食」の記載があるものを選びましょう。
飼い主
総合栄養食が主食だとしたら、一般食や副食はおかずとして、総合栄養食と併用して与えるのがおすすめだよ!
おやつ(間食)
おやつや間食は、猫のご褒美やしつけを目的としたフードです。
これらのフードは、カロリー過多や栄養が偏っているため、与えすぎると肥満の原因になることも。
猫が1日に必要なカロリー量の20%以内に抑えるようにしましょう。
療法食
療法食とは、病気の治療や再発防止のサポート、または病気の進行を遅らせるサポートとして与えるフードです。
一般的なフードとは異なる栄養成分の比率や量に調節されているため、獣医師さんの診断や指導に基づいて与える必要があります。
病気の状況は日々変化するため、飼い主さんの判断だけで療養食を与えてしまうと体調が悪化してしまうことも。
療法食を購入する際は、その都度獣医師さんに相談し、そのときの状況にあったものを選ぶようにしましょう。
総合栄養食の種類
総合栄養食には水分量によって以下の4つの区分に分けられます。
続いてはそれぞれの特徴についてみていきましょう。
ドライフード
ドライフードは、水分量が10%以下に留められているフードです。
みけぽん
よく「カリカリ」と呼ばれるフードはドライフードに分類されるよ!
水分量が少ないためカビなどで傷みにくく、しっかり密閉することで長期間の保管がしやすいのが特徴です。
ウェットフードに比べて、少量でもエネルギー量が高いため効率よく栄養を取れるのもメリットと言えるでしょう。
ソフトドライフード
ソフトドライフードは、水分量が25〜35%程度のフードです。
ふっくらとして柔らかく、食べやすいので口腔トラブルがある猫やシニア猫などの噛む力が弱い猫に向いています。
ドライフードに比べて水分量が多いので、食事から多く水分補給できるほか、原材料の香りも強いので猫の食いつきがいいというメリットも。
ただし、水分量が多い分傷みにくくするために「防腐剤」や「酸化防止剤」「保存料」などの添加物を多く含む商品が多い傾向にあります。
特別な理由がない限りは、ドライフードをメインに与えるのがおすすめです。
セミモイストフード
セミモイストフードは、ソフトドライフードと同様に水分量が25〜35%程度のフードです。
ジャーキーなどの形成されたおやつもセミモイストフードに分類されます。
ソフトドライフードよりも肉感があり、香りが強く嗜好性が高いのが特徴。
柔らかく食べやすいので、子猫の離乳食や噛む力が弱くなったシニア猫にも適しています。
飼い主
水分量が多く、柔らかいフードになると、口の中に残り歯垢がつきやすいのでお口のお手入れも忘れずに!
ウェットフード
ウェットフードの水分量は75%程度で、缶詰やレトルトパウチ、アルミトレーに入った商品が多いです。
高温殺菌してしっかり密閉されているため、無添加のものや長期間の保管ができるものが多い傾向にあります。
香りもよく、食べやすいため喜んで食べる猫も多く、食事と一緒に水分補給できるので、普段あまり水を飲まない子や冬の水分補給におすすめです。
ただし、ウェットフードを与えすぎると普段主食として与えているドライフードを食べなくなる場合もあるので、週2〜3回など用途を決めて与えることを推奨します。
飼い主
総合栄養食よりも、一般食(副食)として高タンパク・高カロリーのものが多いため、使用目的に適した商品を選ぼう!
総合栄養食を選ぶときの4つのポイント
これまでご紹介した、総合栄養食の特徴や種類を踏まえたうえで、愛猫にあった総合栄養食を選ぶときの4つのポイントについてご紹介します。
ポイント①科学的根拠・長年の販売実績
キャットフードを選ぶうえで非常に大切なのが、科学的根拠に基づいて作られているかどうかといった、メーカーの信頼性です。
たとえば、ヒルズやロイヤルカナンは、獣医師や栄養学者などが在籍する自社専用の研究所を持ち、常に最新の研究結果や技術を商品開発に活かし、改良を重ねているペットフードを代表するメーカーで長年の実績があります。
つまり、「常に新製品の開発や既存製品の改良などの研究を行い、その研究結果をフード作りに活かしているか」が信頼できるポイントと言えます。
ポイント②ライフステージ
総合栄養食は、子猫用・成猫用・シニア猫用などのライフステージに合わせて種類が展開されている場合がほとんどです。
ライフステージによって、必要とするエネルギー量や栄養素が異なるため、愛猫の年齢にあったものを選びましょう。
ポイント③健康状態
総合栄養食には「尿路結石予防」や「避妊・去勢後用」「腎臓の健康維持」「肥満予防」など健康に合わせた商品も展開されています。
愛猫の健康上の気になるポイントに合わせて、適した商品を選んでくださいね。
ポイント④食いつきがいい
どんなに良質なキャットフードであっても、愛猫の食いつきが悪ければ意味がありませんよね。
キャットフードは、サーモンやチキンといった風味のバリエーションや粒の形状など商品によってさまざま。
もちろん、猫によっても好みはそれぞれです。
猫の食いつきがよく、美味しそうに食べてくれるものを選ぶことによって、楽しみながら栄養補給でき、健康な体重維持にもつながります。
猫の総合栄養食に関するQ&A
最後に、猫の総合栄養食に関する質問をQ&A方式で解説します。
総合栄養食は必ず必ず与えるべき?
総合栄養食は必ず与えなければいけないというわけではありません。
しかし、総合栄養食の記載がない一般食などは、人間でいうおかずのようなもの。
一般食だけでは、猫の成長や健康維持に必要な栄養素を十分に補うことができないため、総合栄養食を中心に与えることを強くおすすめします。
ひげちゃん
総合栄養食と水があれば、必要な栄養素を補えるよ!
手作りごはんは栄養的にどうなの?
手作り料理は、飼い主さん自らが材料を選び、調理できるため安心ですよね。
しかし、手作り料理だけで猫に必要な栄養素をバランスよく与えるのは非常に難しいです。
猫に必要な栄養素は人間と大きく異なるため、獣医師さんのアドバイスや猫の栄養学を学ぶ必要があります。
近年販売されているキャットフードは、猫の栄養を考慮して作られているので、主食の総合栄養食にプラスして与えるのがよいでしょう。
手作りごはんは、ドライフードでは補えない水分を効率よく摂取できるため、水分補給の一環として与えてみてはいかがでしょうか。
愛猫に合ったキャットフードとは?
食いつきがいいことはもちろん、愛猫が食べて体調がよいものを選びましょう。
どんなに良質なキャットフードでも、体質によってはその子に合わないことも。
フードを食べてから、1週間〜1ヶ月様子を見て以下のような変化が現れたら、そのフードが愛猫に合っている証拠と言えるでしょう。
- うんちの量やニオイが少なくなる
(約1週間後) - 毛ヅヤがよくなった
(約1ヶ月後)
そのフードが愛猫に合っているかどうかは、猫の排泄物や毛ヅヤなどで判断することができますよ。
まとめ
今回は、猫の総合栄養食の役割や種類などについて詳しく解説しました。
総合栄養食は、猫の成長や健康維持に必要な栄養素がバランスよく配合された「主食」となるフードです。
AAFCO(全米飼料検査官協会)の明確な基準が設けられているため、安全なキャットフードを選ぶときの指標にもなります。
愛猫の健康や好みに合った総合栄養食を選び、愛猫の健康をサポートしましょう!
みけぽん
Instagramでも詳しく解説してるよ🐱🌟
– キャトヘルスアドバイザー
– 猫の健康管理インストラクター
– 保護猫歴10年
– 2匹の保護猫と暮らす
猫と飼い主さんにとって快適な暮らし、愛猫といつまでも楽しく暮らすための知識を得るサポートをします。