「愛猫があまり水を飲んでくれない…」と悩む飼い主さんは多いのではないでしょうか。
みけぽん
そもそも、猫が1日に必要な水分量ってどのくらいなの?
今回は、猫が1日に必要な水分量や猫が好みやすい水の種類などについて詳しく解説します。
猫に上手に水を飲んでもらう方法についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
猫が1日に必要な水分量
猫が1日に必要な水分量は、猫の体重によって異なります。
健康な猫の場合、体重1kgあたり約30〜50mlの水が必要です。
猫の体重(kg) | 1日に必要な水分摂取量(m) |
2 | 約60〜100 |
3 | 約90〜150 |
4 | 約120〜200 |
5 | 約150〜250 |
6 | 約180〜300 |
7 | 約210〜350 |
8 | 約240〜400 |
9 | 約270〜450 |
10 | 約300〜500 |
たとえば、猫の体重が5kgだった場合、1日に必要な水分摂取量は約150〜250ml。
みけぽん
こんなにたくさん飲まないといけないんだ…。
猫の水分補給の方法は?
猫の水分補給には、2種類の方法が挙げられます。
- 直接水分を補給する
- 食事から水分を補給する
動物は、猫に限らず食事からも水分を摂取します。
普段あまり水分補給をしない子の場合、ドライフードだけでなく定期的にウェットフードを与えると効率よく水分補給できます。
たとえば、1缶150gの猫缶の水分量が80%だった場合、これだけで約120mlの水分を補うことができるのです。
個体差や季節、環境などによっても異なりますが、普段から食事から水分を補給できていれば猫がそれほど飲水をしなくても、あまり気にしなくてもいいということになります。
飲水量の測り方
猫の健康管理や病気の早期発見のためにも、1日に飲んだ水の量を把握しておくと安心です。
–猫の飲水量の測り方–
- 計量カップで200ml程度水を測り、猫の水飲みの容器に入れる
- その容器の隣に、同じ量の水を入れた容器を置く
- 猫の水飲みではない方の器に、目の粗いザルなどを被せて猫が飲めないようにする
- 1日経ったらザルを被せた水を測り、蒸発した水の量を調べる
- 猫が飲んだ方の水を測り、減った量を調べて蒸発した分を引けば、1日の引水量を計測できる
飼い主
猫が古い水を飲まない場合は、半日ごとに測ってもOK!
食事から摂取した水分量の調べ方
多くのキャットフードは、パッケージに水分量を表示しています。
-食事から摂取した水分量の計算方法-
(ウェットフードの量:85g、水分量82.5の場合)
ウェットフードの量(85g)×水分量(0.825)
=摂取できる水分量(70.125g)
飼い主
水は1gあたり1mlなので、約70mlの水分を補給できることになるよ!
猫があまり水を飲まないのは「砂漠に住んでいた名残」
「自分からなかなか水を飲んでくれない…」と悩む飼い主さんは多いのではないでしょうか。
その習性は、猫の祖先に大きく関わっています。
猫は少量の水で生きていける
猫の先祖はもともと、水の少ない砂漠などの乾燥地帯で生活していたた「リビアヤマネコ」。
リビアヤマネコは、乾燥地帯に住んでいたこともあって、水はほとんど飲まず、必要な水分は小動物や鳥などの獲物の血液から摂取していました。
リビアヤマネコから家猫になるまでには、数千年以上の歴史がありますが、リビアヤマネコとイエネコの体の構造はよく似ています。
猫があまり水を飲まないのは、祖先のリビアヤマネコに由来するものと言われています。
飼い主
ネズミなどの獲物の血液から水分補給するのは野良猫も一緒。飼い猫はドライフードをメインとしている場合が多いから、脱水になりやすい!
その代わり「腎臓」に負担がかかりやすい
少量の水でも生きていくことのできる猫ですが、その一方体の構造上、病気になりやすいデメリットもあります。
失う水分量を減らすために少量のおしっこに老廃物を凝縮して排泄するため、腎臓に負担がかかりやすいのです。
猫に「慢性腎臓病」にが多いのは、これが原因でもあります。
猫の腎臓になるべく負担をかけないようにするためには、できるだけ積極的に水分を摂取し、尿の濃度を薄めることが大切です。
そのほかにも、水分が不足すると今は平気でも後々「尿路結石」や「膀胱炎」などの病気の原因になることも。
とくに、冬は冷たい水を嫌がり飲水量が減りがちなので注意が必要です。
水にチュールを入れたり、こまめにウェットフードを与えたりして、猫に無理のない自然な形で水分補給を促してあげましょう。
猫はどんな水が好き?
猫は「水ソムリエ」と呼ばれるほど、水にうるさい動物です。
入れ替えたばかりの水は飲んでくれなかったり、お風呂の水が好きだったりと、水の好みは猫によって異なります。
以下でご紹介する方法を試してみて、愛猫に合う水を見つけてあげましょう。
ぬるま湯
「冷たい水は飲まないけど、お湯なら飲んでくれる!」という猫ちゃんは意外と多いです。
猫にぬるま湯を与える場合は、38°前後が最適だと言われています。
ぬるま湯で積極的に水分補給してくれる猫ちゃんなら、保温機能がついた水飲みを用意してあげるのもおすすめ。
飼い主さんがいないときでも、猫の好みに合った水を飲んでもらうことができますよ!
流水
台所や洗面所の蛇口から出る水を好む猫ちゃんも多いのではないでしょうか。
猫が流れる水を好む理由は、「野生時代、山に流れる水を飲んでみたら安全だった!」とわかって飲むようになったのではないかと言われています。
動く水は新鮮で、腐っていないと理解しているため流水を好む傾向にあるのかもしれません。
流水が好きな猫の場合は、自動給水機を設置してみるといいでしょう。
自動給水機を選ぶときのポイントは以下の通りです。
- 構造がシンプルで洗いやすいもの
- 高さが10〜15cm前後のもの
(猫が飲みやすい高さ)
フィルターと循環する水が、鮮度を保ってくれるためお留守番が多いご家庭にもおすすめです。
時間がたった水
水道水のカルキ臭を嫌がり、取り替えたばかりの水を飲まない猫もいますよね。
とは言っても、時間がたった水は雑菌が繁殖し、健康への影響が懸念されます。
愛猫が、カルキ臭を嫌がる場合は以下の方法を試してみましょう。
- 水道水を沸騰させて、冷ました水を与える
- 冷蔵庫で1日保管する
ただし、カルキ抜きした水は消毒成分も同時に抜けてしまっているため、雑菌が繁殖しやすくなります。
こまめに取り替え、清潔な状態を保ちましょう。
猫に与えてはいけない水
意外と知られていませんが、以下のような水は猫に与えてはいけません。
ミネラルウォーター(硬水)
基本的に、猫にミネラルウォーターを与えるのはNG。
とくに、硬水はカリウムやマグネシウム、ミネラルなどを多く含んでおり、過剰に摂取すると尿路結石などの泌尿器系の病気にかかりやすくなります。
猫に適した水はミネラルの少ない軟水。
日本の水道水のほとんどは、軟水なので基本的には水道水を与えましょう。
しかし、地域によっては水道水の硬度が高い場合もあるので、日本水道協会のサイトで水質データを確認しておくことをおすすめします。
飼い主
沖縄や千葉、埼玉の一部では、硬度が高い地域があるから要注意!
塩分が多い茹で汁
鶏肉を茹でただけの茹で汁なら、猫に与えても問題ありません。(甲状腺機能亢進症など、食事療法を厳密にしている場合はNG)
ただし、調味料や塩分などが入っている茹で汁は、体の小さい猫にとっては有害です。
ほとんどの調味料は猫にとって危険であることを覚えておきましょう。
飼い主
とくに、日本人がよく使う醤油や味噌塩分が多く危険なので要注意!
花瓶の水
花瓶の水を好む猫ちゃんもいますが、猫に有害な植物は多く、花瓶の水を飲んでしまっただけでも危険なものもあります。
とくに、ユリ科の植物は「花・葉・茎・球根」全てに毒性があり、口にすると最悪の場合、死に至ることもある危険な植物です。
その危険度は、花瓶の水や花粉を舐めただけでも同様。
猫を飼っている場合は、花瓶や植物などを置くのを控えることをおすすめします。
上手な水の飲ませ方
たとえば、4kgの猫の場合、1日に必要な水分量の目安は約120〜200mlですが、なかなか水を飲んでくれない猫にとっては難しく感じる飼い主さんも多いでしょう。
ここでは、食事や猫の行動などから自然に水分補給できる方法をご紹介します。
水飲み場は多めに設置する
最近の研究などから「猫の水飲み場は、多ければ多いほど猫が飲んでくれる」ということがわかっています。
猫は喉が渇いていても、近くに水飲み場がないとめんどくさがって水を飲まないことがあります。
理想としては、猫の頭数×1〜2箇所と言われていますが、水をこまめに変えたりする手間もあるため、飼い主さんが管理できる範囲で設置するとよいでしょう。
飼い主
水飲み場を1箇所から3箇所に増やしただけで、飲水量がおよそ1.5倍に増えたという報告もあるよ!
猫の動線上におく
猫がよく通る場所に、数ヶ所水飲み場を設置するだけでも猫の飲水量がグッと上がります。
たとえば…
- 猫がよく寝ている場所の近く
- 人通りの少ない静かな場所
- 廊下 など
我が家の場合は、2階建で階段を使ってよく遊んでいるので、階段の下の廊下、階段を上がってすぐの廊下にそれぞれ1っヶ所ずつ、リビングに2箇所設置しています。
先述の通り、めんどくさがりな猫にとって動線上に水飲み場があると、何かの「ついで」に自然な形で水分補給でき効果的です。
飼い主
うちのニャンズは階段でよく遊ぶから、運動後に登ったついで、降りたついでによく水を飲んでくれるよ!
ウェットフードやおやつに水を混ぜる
愛猫の好きなウェットフードやチュールなどのおやつに水をませてあげるのもおすすめ。
ただし、水を入れすぎたり、水が冷たすぎたりすると食べてくれない可能性があるので注意が必要です。
ウェットフードの場合、すでに豊富な水分が含まれているため、猫が食べてくれる程度に水を混ぜましょう。
また、電子レンジで少し温めると、香りが立ち猫の食欲を掻き立ててくれますよ。
手作りスープも効果的!
普段与えているキャットフード(主食)にプラスする形で、手作りスープを与えてみるのもよいでしょう。
鶏肉や茹で汁が好きな猫ちゃんにおすすめの方法です。
手作りスープの作り方については、以下の記事で解説しているのでぜひご覧くださいね!
まとめ
今回は、猫が1日に必要な水分量について解説しました。
猫は体の構造上、少ない水でも生きていけますが、それ故に腎臓に負担がかかりやすく病気にかかりやすい特徴もあります。
とくに、飼い猫の場合はドライフードがメインとなり、脱水になりがちなので注意が必要です。
愛猫の水の好みを把握し、水を置く場所や数を工夫して、健康をサポートしていきましょう!
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– キャトヘルスアドバイザー
– 猫の健康管理インストラクター
– 保護猫歴10年
– 2匹の保護猫と暮らす
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